自転車と釣りと余白と

自転車と釣りと周辺の余白について

River of the Covenant ーヘンリーズフォーク釣行記 その2-

 

DAY 2  JLY/11 2024

木曜日。

 

午前5時に起きる。外はほんのりと夜明けの気配。気温12度。
湯を沸かし日本から持参したインスタントコーヒーを作り飲む。買い込んだバケットとバナナを食べる。ゆっくりとした朝食を終えるとすっかり明るくなっていた。快晴。
食後は昨日までの事を反芻しながらぼんやりと過ごす。
7月9日の夕方に成田を出発し10時間半のフライトの末、コロラド州デンバーに到着し、入国審査や乗換えを経てモンタナ州ボーズマンへ。そこから車を運転してアイダホ州ラストチャンスへ辿り着き、一夜明けてようやくヘンリーズフォークにて竿を振ったのだが、その間ずっとふわふわとした心持ちだったなと、ベットの上で思い返す。

機上にて

午前10時前に宿所を出る。フォード・エスケープという4輪駆動のSUVに荷物を積み込んで昨日ライズを見たミリオネアプールへと向かう。
駐車場に車を止めて身支度をしてミリオネアプールに向かうと、昨日ライズを見た場所から300メーターぐらい上流に釣人がいた。その釣人はスペイキャストをしながら釣り下がってきている。まさかヘンリーズフォークでスペイキャスターに出会うとは・・・と思いつつ昨日ライズした場所に入ってライズを待つ。
正午を過ぎた頃、ライズを見つける。大きな中洲寄りでライズをした。
ライズした場所から目を外さず静かに近付き次のライズを待つ。フライは#16のPMDクリップルを結んでいる。
同じ場所でライズをした。すぐにキャストをしてフライを流れに乗せる。フライは何事も無く流れ去る。
結局それ以降ライズはせず、午後1時半まで待ったが諦めて川から引き上げる。いつしか川には私一人という状況となっていた。宿所に帰って昼食としよう・・・

快晴のミリオネアプール

宿所にあるグリルでサンドイッチと炭酸飲料を注文し食べる。サンドイッチは半分だけ食べて残りは自室に持ち帰り冷蔵庫へ入れておき夕食とする。自室にて午睡。

夕方4時ごろ目が醒めて、顔を洗って冷やした水を飲んで部屋を出る。まだまだ陽射しが高いなか再びミリオネアプールへ向かう。
駐車場に着いてみると止まっている車は1台も無く、当然ポイントに釣人は一人もいなかった。少し考えて他のポイント、ウッドロードへ向かう事にした。
舗装路から未舗装の悪路に入り、慎重にモーグルを乗り越えたりやり過ごしたりしながらウッドロードに到着してみると、先客の釣人がライズを狙っているところだった。
川面を見ていると、大きさはともかくライズがそこかしこである状態だった。そうこうしているうちに車が次々とやって来た。ここが今のトレンドのようだ。それではと、私も身支度をして川に入る。
隣人と充分な距離をとって川に入る。目の前でライズが頻繁に起こっている。中には背中をヌルっと水面から出すやつもいる。逸る気持ちを抑えて、#16のPMDクリップルをライズに投げる。何事も無く流れ去るフライ。投げる。流れ去る・・・
やがて小さいカディスが大量に飛び始めたり、水面をちょっと大きなメイフライが流れ始めたりと、賑やかな状態になった。水面を流れるメイフライは#14ぐらいで、おそらくはフラブのダンと思うが確信は持てない。そしてそのダンを食うライズはない。時間はいつしか午後9時となっていた。
届く範囲で明らかに良型のライズが始まる。キャストしフライをレーンに流す。良型のライズがあったポイントへもうすぐフライが流れて行くという時に、別の魚がフライを咥えた。
すかさずアワセを入れる。プルっとした感触が伝わる。手繰りよせると小さなレインボートラウトだった・・・
この日はこれで終わった。
暗くなるなか川から上がると、同じく川から上がってきた日本人3人組に遭遇した。何となく挨拶し何となく流れで話を聞くと、このウッドロードは今日の午前中はよくフライに反応したが掛けるたびに切られて取り込めなかった。期待して夕方に来たがライズはあるものの全くフライに反応しなかった。今年は過去一番状況が悪い。ピークは先週で今は終わっているようだ・・・という事だった。貴重な情報といえば確かにそうだが、余計な事を聞いてしまったと感じた。上辺の情報に翻弄されるつもりはないが、要らぬことを聞いたばかりに心の底に澱となってそれが残ってしまい後々それを思い出しては釣れない言い訳にしてしまいそうだなと思った。

食事

イブニングのウッドロード 空中や水面の小さ点はすべて虫

 

ヘンリーズフォークで最初に手にした魚 レインボートラウトの子供

グリーンドレイク?フラブ?サイズは大きい・・・

ウッドロードを走るとこうなる

 

DAY 3 JLY/12 2024

金曜日。

 

朝9時前にウッドロードの駐車場に到着。既に川には何人か釣人が立ちこんでいてキャストをしている。昨日のイブニングの状況からして、今はここがトレンドなのだろう。
支度をして川に向かう。牛が川に入らないようにめぐらされた柵に付けられた小さな扉の横で静かにライズ待ちをしている釣人に挨拶をする。私は日本から来たフライフィッシャーで・・・と型通りの挨拶を始めると、「コンニチハ!」と返ってきた。日本語できるのですか!と思わず聞いてみると、昔少しだけ沖縄にいたことがありその時に少し覚えたという答えが返ってきた。なるほど・・・では軍の関係で沖縄に?聞いたがそうではないとの事だった。彼の名前はフレディー。それから色々話をした。彼の息子は海兵隊員として2年ほど沖縄に居たとか、今日はまだこれといったライズが無くここでじっと川面を観察しているとか、大きな奴はバンク際でライズしフォームも小さいからよく観察しないとならない等々。せかっくなので日本から持参したフライを見せてどう思うか聞いてみた。フォームビートルとアントを指差して、これがいいと言う。これを使えと。
やがてバンク際で小さなライズ。フレディー氏は私にそれを指差して、あれが大きい奴のライズと教えてくれた。そしてそのライズを譲ってくれた。
お礼と握手をしてそのライズを狙いに行く。
静かに近付いてジッとライズを観察する。不定期なライズ。定まらない・・・
流下している虫は見当がつかない。時間帯からして何かのスピナーフォールを拾っているのかと思ったり、目に見えないハッチに対してのライズだったり、水面直下のものへのライズだったりとあれこれ考える。
とりあえずフライを#14のラスティースピナーに決めて結び、ライズを待つ。そのフライにした根拠はスピナーというかメイフライのスペントが流れているのを見たから。そういえばトラウトハンターの店員も朝のスピナーフォールがありライズしていると言っていたな・・・と思い出したからでもある。
先程よりやや沖に出たライズ。よし、投げよう。
ラインをリールから引き出し、フォルスキャストを数回して、アップサイドにキャストをする。距離は8メーターぐらい。バンク際から離れて膝をついてのキャスト。
何事も無く流れ去るフライ。沈黙・・・
フライをビートル#16に換える。キャストする。沈黙・・・
結局このライズも釣る事は出来なかった。
時刻は午後1時を回っていたので川から引き上げて宿に帰る。

夕方6時に再びウッドロードへ。誰もいない。昨日はあれだけ人が居たのに。
支度をして川に入る。だが、にわかに曇り空となり風が吹き出して川面が波立ち始める。サンダーストームが来るのではと、一旦車に戻りやり過ごすことに。
30分もしないうちに雲が去り風がやみ、青空を映し出す川面に戻った。ほどなくして次々と車がやって来た。私も川に入り直す。
「上流に入っていいかい?」と声をかけられる。年配の釣人が犬を連れて私の後ろに立っていた。もちろんいいですよと返事する。距離を置いてその釣人と並んでイブニングを迎える。周りを見渡すとそれなりに人が入っている。
昨日と同じくカディスが大量に飛び回りフラブとおぼしきダンが水面を流れ、その上よくわからない小さい虫が流れる。
午後9時ぐらいからライズが盛んになる。昨日の教訓から飛沫を上げるライズは悉く小型のレインボートラウトだとわかったのでその中でたまに出る鼻先ライズやヘッドアンドテールよろしく水面を抜けるようなライズに的を絞ってフライをキャストする。
そしてとうとう手応えのある奴を掛けたのだが、すぐに藻に化けてしまった・・・
その後も大きそうなライズに的を絞ってキャストするも、チビに横取りされたり完全無視されたりで、イブニングが終わった。
帰り際、件の釣人と話をする。名前はキム氏、カリフォルニアから来ているという。1976年からこの川で釣りをしているそうだ。非常に年季の入ったウェダーとベスト。そして11フィートのとても柔らかいフライロッドを手にした姿に相当のベテランと感じた。そのキム氏曰く、先週ここで夕方いいいのを5本釣ったよとのこと。そして私にフライをあげようと言って、年季の入ったフライベストからフライボックスを取り出し、数本のフライを私の手のひらに載せてきた。決して洗練されたフライではないものの、無骨な指先で巻いたであろうそれらフライを見ると、その人の釣り史が何となく知れるのではないかと思う。いいものを頂いた。
午後10時過ぎにウッドロードを後にする。

3日目の朝出会ったフレディー氏

カリフォルニアから来たというキム氏

夕方 にわかに雲行きが怪しくなる

明日は釣れるだろうか・・・


つづく